深紅の花に姫君《改装版》



『スイラン様は、慈愛の女神。その愛こそが力となる。そして、深紅の想いを捧げました』

「深紅の想い?」


『深紅の想いとは、落ちる恋、燃えるような愛……。それは、紛れもなく、レイン様への愛でしょう』


俺への………愛。
それは、嬉しくもあり、悲しい置き土産のようにも思えた。



『もし、スイラン様を救えるとすれば、失われた深紅の想いを与える事』


「!!」


それは、俺のスイランへの愛を与えるってことか??


『スイラン様と同じ、あるいはそれ以上の想いがなければ、成すことのできない事です。決断を、レイン様』


俺の想いが、スイランに劣ったら??


俺は、強気に笑い、胸を張って天を見上げた。


「俺は、誰よりもアイツを愛してる」


『承りました。それでは、カルノンゲーテへの扉を開きます』


ーギィィィィ


地面に、扉が現れ、それが開くと、中には底の見えない穴が広がっていた。


「何だよ、これ‼」

『カルノンゲーテ、神の眠る楽園への扉。スイラン様は、慈愛の女神アリアの生まれ変わり、元より、死を迎えれば、カルノンゲーテへ行くことが決まっておりました』


フワリと、白い羽が目の前に現れた。


な……んだ………?


その白い羽に触れようと手を伸ばす。そして、その羽に触れた瞬間……


『慈愛の女神の愛を手に入れたレイン様なら…』


紫の髪と瞳の天使が、俺の前に現れた。優しく微笑み、カルノンゲーテを指差す。


『あの楽園から、スイラン様を連れ戻せましょう』

「この穴の向こうに、アイツが………」


答えは決まってる。


「待ってろ、スイラン」


今度は、俺が…。お前のためにこの命、賭けてやるよ。



ダンッ!!


地面を強く蹴り、俺は穴へと飛び込んだ。



『私に出来ることは、ここまでです……』


どんどん透けていく体に、天使は嬉しそうに微笑む。


『セシルは、あなた様に仕える事が出来て…幸せでした。ようやく、あなた様のために何かできる…』


そう言い残して、セシルは姿を消した。