『ヴラドは、あの戦争の後一度姿を消したけれど、また力を取り戻し、再来した』


場面が変わり、そこには、血を吸うヴラドの姿があった。



「どうしてこんなに、喉が乾く………?」


血に飢えた紅い瞳が、自分がたった今奪った命に向けられた。


「どうして………傷つけてしまう……?」



ただ、分からないとヴラドはどこか暗い洞窟のような場所で虚空を見つめる。



ヴラド…………
必要悪としてこの世界に落とされた、災厄。



それだけの為に生まれただなんて、どんな気持ちだっただろう。ヴラドは、苦しかったんじゃないかな。



ただ、滅ぼす事しかできない自分に、絶望していたんじゃないかな……



『あなたが今抱いているように、ヴラドは、孤独だったのもしれないわね。そして、自分とは正反対の役割をもつ薔薇の姫が羨ましくて、憎らしかった』



そう………か。あのとき、ヴラドが怒った理由!!


アリア様の言うことが、スッと私の中に入ってきた。やっと、理由が、分かった気がする。