ーシュンッ!!!


瞬間移動した先にあったのはこのダート城にはあるはずのない王の間、王座に座るヴラドだった。


「よく来ました、薔薇の姫」


そう、それは記憶の中のあのヴァンパイアと同じ声、姿、言葉で現れる。


「ヴラド」


ヴァンパイア純血主、母様を殺した存在。


「美しくなりましたね、姫」


紅い瞳が三日月に細められる。そして、ニタリと笑みを浮かべた。


「熟し、甘美な香りを漂わせている。あなたから来てくださるとは、光栄です」


なんて、冷たい瞳………



恭しく私に接するくせに、ヴラドには私がご馳走にしか見えてないのだと分かった。