「あれは、お前のせいではないぞ、ケナン。お前は、アスラーナ女王と一緒になった時点でこの国の王になり、王としてこの国を守った。アスラーナ女王の愛した国を守ることこそ、アスラーナ女王の願いだっただろうよ」
その言葉に、アスラーナの言葉を思い出す。
『ケナン、私の、大切なこの国を守ってね。きっとよ?それが、私の願いなのだから』
そう言って、いつも笑っていた彼女はとても強く、気高く、美しい女だった。それでも私は、今も後悔に胸を抉られる思いだ。全てを捨てても、お前を守る騎士で在りたかったと………
「それでも、守れなかった。王とは、愛する者すら守れぬ、無力な存在よ…」
その悲しげな声に、スヴェンも口をつぐんだ。
何を言っても、どんな言葉も、大切な者を亡くした戦友には届かない事を知っていたからだ。
だからこそ、支えてやりたいとスヴェンは思う。
その為に騎士団長にまで上り詰めた。少しでも、ケナン王の傍へいけるように。
ケナン王の大切な者をこれ以上失わせぬ為に、レインには期待している。
きっと、レインにはその力がある。
「お前なら、うまくやれるだろうよ。頼んだぞ、レイン」
扉の向こう、すでに消えた愛弟子に声をかける。
この悲しみの連鎖が消えるようにと、願わずにはいられなかった。


