「壊滅しかけているダートから、シルヴィエ様がいなくなる事が、民を殺すことになるとは思わなかった?」
「!!」
私の言葉に、ガウェインは、目を見開いた。
「炎の領主、自由な意志をもつあなたを、私は尊敬し、信頼している。けれど、それだから、同じ領主や民を理解しようとしないのは間違いだ。それは、自由な思想ではなく、あなたの固定概念だよ」
「では!!この民たちの怒りはどこへやればいい!?無念に散った、我がアフィルカの民や兵にどう報いる!?」
ガウェインは、怒りに声を荒げながら、この人も泣いている、そう思った。
「心で泣き、力にかえられるあなたは、とても強い。でも、強さには色んな形があるんだ」
ガウェイン様とシルヴィエ様の強さは形が異なるが、どちらも愛ゆえに生まれ、それぞれの守り方がある。
「あなた達の守るとは何?」
私はガウェイン様と座り込むシルヴィエ様に問いかける。
「民の思いを、決意を受け継ぎ、民と共に剣をとり戦う事に決まってる!」
「民や兵を傷つけぬよう、最善の方法を選ぶ事…です」
ほら、やっぱり。同じ目的にも、さまざまな守り方がある。