深紅の花に姫君《改装版》



「ガウェイン様、ではここでシルヴィエ様を殺し、今度はダートを壊滅させるの?」


私はガウェインの前に立つ。その、怒りに溢れる瞳を、真っ直ぐに見つめ返した。



「あの殺気を前に、怯まねぇとか………やっぱりすげぇ女だよ、スイラン」


レインはポツリと呟く。


「にしても、ガウェイン様に劣らず、あんな美人な顔でよくもまぁ、受けてたってられるよなぁ?」


シェイドも感心したようにその光景を見つめた。



「あなたは、民の為に他の領地の民を殺すと言う」

「違う、俺は、あいつが責任もって消えれば、それでいい。民は傷つけねぇ。それを王子が止めるんなら、俺は薔薇の棘が、俺らに牙向く時、遠慮なく焼き尽くす炎であれと言われたその誓いを実行するまてだ」



そう、炎を司るアフィルカ領主に送られたのは、薔薇の意味するアルバンテールが、過ちを犯したとき、それを全力で止める役目を担っている。


だからこそ、何者にもとらわれず、自らの意志をもつガウェインが選ばれたのだ。