深紅の花に姫君《改装版》



「では、あなたのいう罪には罰を」


私はシルヴィエ様の長い紫の髪に手を伸ばした。


「スイラン王子、いかなる罰も、つつしんでお受けいたします」


そして、私は剣を降り下ろした。


ーザシュッ!!!!


目をつぶる兵や、悲鳴をあげた兵もいた。しかし、すぐに驚きの声があがる。


「王子…………?」



ハラハラと散る紫の髪に、シルヴィエ様は目を見開く。そして、膝をついて私を見上げていたシルヴィエ様の前に、私もしゃがみこんだ。



「そして、褒美を。あなた、辛い判断を自分の罪とし受け入れ、民を守った。それは、尊敬こそすれ、命を奪うなんてもっての他だよ」


私は、シルヴィエ様に手を差し出す。



「薔薇を潤す優しさを持つのは、あなた以外考えられない。シルヴィエ様、私の、アルバンテールの恵みとして、ダートを守りなさい」


私の言葉に、シルヴィエ様は泣き出した。そして、私の手をとり、頭を下げる。



「私の、この身を賭けて、アルバンテールとその民を守ります。その慈悲と慈愛に誓って……」


そして、私たちは笑顔を交わした。