深紅の花に姫君《改装版》




「ヴァンパィアは俺達に任せておけ!!」


そう言って、スヴェンは私の耳元に顔を寄せる。


「姫サンは姫サンの思うように動いたらいい。俺達はその為にいるんだからよ!」


小声で紡がれた優しい言葉に、私は一人ではないのだと、改めて実感する。


「お前ら!!ヴァンパィア共を追い払え!!」

「「「オォー!!!」」」


騎士達はスヴェンと共にヴァンパィアと、戦う。それに、両兵士達は困惑し、動きが止まった。


「王立騎士団だ!!」

「いや、国家騎士団じゃないか!!」



王立の、その中でも優秀な国家騎士団の旗を目にし、兵士達が動揺し出す。それを見計らい、私は前に出た。


「領地を守る気高い兵士達よ、その剣を収めなさい!!」


私は少しでも遠くの戦場にも届くよう声を上げた。すると、私の姿を目にした兵士達が一斉に剣を収める。


「ま、まさか、王子が……」

「スイラン王子だ!!俺、は、初めて見た……」


皆の動揺を収めるように、私は語りかける。



「その剣で、同じ国に生きる同志を傷つけてはいけない。どうか、その剣を収めてくれ」


私は、ヴァンパィアと戦うスヴェン達を信じ、領地の兵士達に声をかける。


「理由は後で聞かせてほしい。ただ、今はヴァンパィアと戦わなければ、共に戦ってはくれないだろうか!」


私の言葉に、アフィカ兵は頷いたが、ダート兵の表情は暗かった。


「ダート兵の方々」


私は近くにいたダート兵に歩み寄る。すると、そのダート兵は怯えたように私を見た。