深紅の花に姫君《改装版》



ーアフィカ領地、城門前


「これはっ………」


そこはすでに戦地であり、アフィカ領地の炎紋章の旗と、ダート領地の水の紋章の旗を掲げる兵同士が、戦っている。


「急がなくては!!」


私はグッと剣を握りしめる。


仲間同士で戦うなんて、絶対にあってはならないのに…
なんて悲しい事なの……


また、心が軋み、私はつい俯いてしまった。


「王子、危ない!!!」


すると、私の目の前に、大きな影が映った。


「グギャーッ!!!」


それが、ヴァンパィアだと気づいた時には、すでに私にその鋭い爪が襲いかかっていた。


「あっ……………」


私、ここで死ぬの…………?
あぁ……私は、何も果たせないまま………



それでは、私は何の為に生まれてきたの。世界のために、民のためだけに存在する私は…無意味な存在になってしまう。



ううん……違うね。
私は、他者のために存在すると言いながら、必要とされないまま、無意味なモノとして見られたくなかった。


私では無く、王子の名に、薔薇の姫の力に価値があり、私には何の価値も無いってわかってたから…