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「これが、僕がヴァンパイアになった理由だよ」


そうして、ヴァンパイア……ジルドは過去を話してくれた。何もないように話ながらも、辛そうなのは気のせいじゃないんだろう。


きっと……今でもその過去に傷ついてる。


「ありがとう、ジルド。話すのも辛かったはずなのに……」


私は押し倒されたまま、ジルドの頬に手を伸ばした。


ジルドが一番辛いときに、手を差しのべたのがヴァンパイアでなく人だったのなら、復讐なんて悲しい生き方をせずにすんだのかな?


「別に、昔の事だよ」

「昔の事でも辛い事は心に深い傷を残すよ。私もね、大切なモノを奪われたことがあるから、わかるの」


母様…………
私の大切で大好きな人。


「あなたは人に、私はヴァンパイアに大切なモノを奪われた。だから、私はヴァンパイアを、あなたは人を憎む事で自分の心を守ったんだわ」


「自分の心を守った………?」


「憎くしみで、失ったモノへの悲しみを忘れる為に」



それが楽だった。
失ったモノを憎しみで埋める事で、もう取り戻す事の出来ない大好きな人に何かをしてあげられてるような気になったから。


無力な自分でいたくなかったから………