あの戦火に家族も、家も、友も、全てを奪われ、失ったんだから……
「何がいけなかったんだろうね……」
「さぁな……」
何がいけなかったか?
そんなの、僕が知りたい。
でもどうせ、知ったところで、何も変わらないんだ。
青空に、一羽の白い鳥が見えた。
あぁ……あの鳥のように空を飛ぶ翼があったなら……
僕も自由になれたのかな?
今は、立ち上がる為の手足も言うことを聞かない。
まるで、鉛になったかのようだ。
「おや、まだ生きているのですか?」
すると、こんな陳腐な場には似合わない気品ある声が僕たちの頭上から聞こえた。
「誰………?」
まぁ、誰でもいいんだけど。
どうせ、僕には逃げる力も、抗う力も無い。
「ふふっ、私はヴラド。ヴァンパイアの純血種です」
「ヴァンパイア………」
まさか、こんなところでヴァンパイアに会うなんて……
僕達は心底ついていない。
「俺達はついてないな……」
センリも同じ事を思っていたらしい。
「いいえ、あなた達はツイています。ここで、私と出会えたのですから」
その漆黒の長い髪と紅い瞳が、青空に似合わない。
そう、月夜にこそ似合うと思った。
「そのまま、世界の塵となりたいですか、人間」
ヴァンパイア、ヴラドは僕たちに問いかける。
世界の塵……今の僕達は塵だ。
そこに存在していても、簡単に風に拐われバラバラに消える。


