「外の世界を知らなければ、私は弱いままだったし、視野も狭いままだった。だから、今回の事、私は後悔はしてない」
これだけは、胸を張れる。
レインが、私の全てを受け止め、生きようと言ってくれたから、今の私はここにいるんだ。
「私はまた、家族を失うのだな……」
「父様………」
いつも強くて気高い父様が、弱々しく笑った。
父様………
母様の時も決して取り乱したりはしなかった。
『アスラーナ、後は私が…お前の想いを受け継ごう』
あの、大きく広い背中が、今でも忘れられない。
見るには辛すぎる母様の亡骸を抱きながら、父様はそう言った。
もしかしたら、あの時………
父様は本当は泣いていたのかもしれない。
その背の向こう、息をしない母様見つめながら。
「父様は、心で泣きながらも、弱さを見せずに凛としている。とても強い人だから……」
私は父様に歩みより、そのゴツゴツとした両手を握った。
「私がいなくなった後も少し不安。ちゃんと、不安は口にしてね。そして、悲しい時には涙を流すの」
我慢するのは、何よりも辛いんだ。
抑え込むほど、苦しくなる。


