深紅の花に姫君《改装版》




「だから私は、この世界から大きな格差を無くしたい。ヴァンパイアと人間という大きな力の差を」


「しかし、どうやって………。ヴァンパイアは吸血しなければ生きられん。それに、ヴァンパイアは我等人間より遥かに身体能力に長けておる。それを無くす事など……」


「父様、薔薇の姫の力を使うのです」


「!!」


父様とスヴェンが驚いたように私を見る。



「スイラン、レインはまだ知らぬのだろ……?」


父様の問いに私は無言で首を横に振った。


「レインは私が絶対の信頼を置く騎士、全てを明かしたの。勝手な事をしてごめんなさい」



私は父様に頭を下げる。


絶対に秘密にしなくちゃいけない事だけど、もう、レインには何も隠したくなかったから…



「そうか……レインは、お前にとって本当の支えとなっているのだな。私は、いつかこうなるだろうとは思っていたよ」


父様は小さく笑って私とレインを見た。



「して、薔薇の力とは?」

「薔薇の姫は、血に癒しと力を与える以外にある力を授かっているの」


それは、セレネリス婆様から教えられた深紅の想いで運命を変える力。



「私の命、想いと引き換えにどんな運命をも変える力…。ヴァンパイアを人へと変え、力の差を無くし人が力ではなく言葉を交わし合い共に生きていく世界へと変えたい」



これが、今の私の導き出した答え。



「スイラン、お前はそこまで考えていたのだな………。正直、驚いた。まさか、もうアスラーナと同じ答えまで辿り着くとは思っておらんかった」


優しく、そして寂しそうに笑う父様に父様は薔薇の姫の力の事を本当は全て知っていたのではないかと思った。