「お前に足りないのはそこだ。そして、今回の任務が、きっとお前を変えるだろう。俺は、それに期待してるんだがな!」


「俺に足りないもの?」

「守るとは、命を守る事ではないぞ、レイン。真に守るとは、主君自身であり、命…そして心、魂だ」


心と……魂?


団長は立ち上がり、俺の目の前に立つ。
その強い眼光は、数々の試練を戦いぬいた騎士が持ちうるものだった。


それに負けずに見つめ返す。


「時には、主君の命と心、天秤にかける時もあろう。それを両方とも守れる者こそ、真に騎士と呼べるのだ」


「心に、留めておきます」


団長が、言うことだ。間違いは無い。
俺の知らないものを知り、見て、経験しているんだと思う。



不本意ではあるけど、任されたのなら、俺は、それをやり遂げるだけだ。


「よし、良く言った!そしたら王に挨拶に行くぞ!」

「八ッ!!」


敬礼をして、俺は騎士団長と共に王間へと向かった。