「ももー!早く帰ろー!」

「はーいっ!今行くー!」

「ほらほら、ももちゃん帰っちゃうぜ、いいのかよ」

「べ、別に僕に関係ないし…」

「……ったく、そんなんじゃいつまでたってもこのままだぞ」

「…。」

僕は言い返す言葉が見つからなくて、大晴から視線を外した

「ももちゃんいい子だから、他のやつに取られても知らねーよ」

「えっ?!そ、それはだめ!!」

ついつい声が大きくなってしまった

みんなの視線を感じる

やっと赤みを失った頬が、また熱くなるのがわかった

恥ずかしさで俯く

彼女に聞こえていないだろうか…

恐る恐る視線だけずらしてももちゃんを見る

教室から出ようとしていた彼女と目が合った。

自分の心臓の音が聞こえる。
とてつもない速さで動いているのがわかった

や、やばい、恥ずかし過ぎる…!

手で口元をおおいながら、笑う彼女。

恥ずかしさもあるけど、なんだかそれよりも魅入ってしまった。

硬直してしまう。

「じゃあね、渋谷くん、また明日ねっ」

彼女が僕に手を振りながら声をかけ、教室を出ていった

「……えっ」

開いた口が塞がらない。

彼女と会話…とはいえないけど、話しかけてくれた
頭がうまく働かない

「よかったじゃないの!真くーん!ひゅ~う」

大晴の茶々も耳に入らなかった

ヘタレな僕にとって、これだけでも大事件だ

嬉しくてしょうがない

なんだか熱い

「ちょっ!真!お前顔真っ赤じゃねーか!大丈夫かよ!」

「ふぇっ?!そ、そんなに…?」

慌てて顔を伏せる

もしかしたら僕は赤面症なヘタレなのかもしれない