それから、悲劇は、忘れられないあの悲劇は起こってしまった――――。
それからさらに一年後、つまり雄輝お兄ちゃんが中学二年生、私が小学六年生の時の事だ。
遊んでいた友達が帰ってしまって、つまらなくてゴロゴロしていると、不意に電話がかかってきた。
すぐに、お母さんが出た。
「はい、有原です――。
―――ええ、ええ……。」
どうせ、くだらない電話だと思った。
でも、違ったんだ。
「――はい、わかりました。
そう伝えます。」
ガチャリ、受話器を置くと、お母さんが何か悲しげな表情をして私の方を向いた。
「美月」
いつもの声より、ワントーン下がった声だった。
「あのね……。」
お母さんが溜め息混じりに話し出した。
その内容こそが、私の心を苦しめる元だった。


