私、見ず知らずのうちに愛生を置いてきぼりにしてたみたい。
「愛生ー?」
愛生を呼んでそこまで行くと、はっとして、柱の陰に隠れた。
愛生は、誰かと話していた。
相手は、少し明るい綺麗な茶色に染め上げたサラサラのボブ。
その髪があまりにも綺麗過ぎたから、短くしているのが勿体無いなと思う程息を呑む位綺麗な髪だった。
ねっとりとした熱い風が吹いてきた。
同時に、風は華麗にその子の髪をサラサラとなびかせた。
なんて美しい髪だろう。
愛生は、その子と何かを喋っている。
「ね、沙羅(サラ)。
今度の大会さぁ…」
さら。
今、愛生は確かにそう言った。
あの子の名前だろうか。


