…それは、8年前の出来事。
私が、まだ幼稚園の年長組の時だった。
暖かな春の日の出来事。
私は、幼稚園へ行く途中、ズテンと転んで、泣きべそをかいてた。
そうしたら、黒いランドセルがゆらりゆらり、見えて、私に、大丈夫?と声をかけてきた。
「ありがとう、お兄ちゃん!!」
私がそうお礼を言うと、男の子がニコッと笑った。
その優しい笑顔でわかった。
「雄輝お兄ちゃん!」
“雄輝お兄ちゃん”は、ニッと笑った。
「そうだよ、“雄輝お兄ちゃん”だよ、美月ちゃん。」
雄輝お兄ちゃん、フルネームで言うと中島雄輝(ナカジマユウキ)。
実は、幼なじみなんだ。
年は、雄輝お兄ちゃんの方が2つ上。
雄輝お兄ちゃんは、不思議な男の子だった。
ミステリアスな色をした瞳に、真っ黒でサラサラの髪の毛。
まるで、白馬に乗った王子様のような子で、クラスでもなかなか人気があった。


