4月3日

私、花田 未来(はなだ みく)は今日から西岡高校に入学する。

西岡高校はこの辺じゃ、難関高校でおまけにスポーツも県内トップクラスと

いうすごい学校だ。

そんな高校に私が学力で合格するはずがなく、中学校から部活でやっていた

サッカーでスポーツ推薦で入学することになった。

「うわぁ!すごく大きい学校!!ねえ、お母さん!見てよ、この大きい門!」

「未来、ちょっとやめてよ!恥ずかしいじゃないの……!」

「へへっ、ごめん。」

初日からテンションMAXで私は、一人浮いたまま体育館へと足を運んだ。



『これから西岡高校入学式を開会致します、礼。』

『まず最初に、校長先生からのお話です......』

「............。」

大体お決まりで、どこの学校でも校長先生の話はものすごく長い…。そして魔

法にかかったように眠くなる。

「ねえ、あなたどこの中学校だった?」

「え?」

隣の子が、話しかけてきた。ロングヘアーで目が大きくて可愛い女の子だ。

でも、私この子どこかで見たことあるような......。

何故かそんな風に思った。

「わ、私?旭ヶ丘(あさひがおか)中学校だよ!」

「やっぱり!女子サッカー部だったでしょ?」

「えっ!なんで知ってるの!?そうだよ。」

一瞬、彼女の事を怖いと感じてしまった。しかし、この場合はストーカーだ

と思ってしまう。そんなに有名でもない中学校の、しかも女子サッカー部と

いう珍しい部活にいてる奴を知っているんだから誰だってそう思ってしま

う。一体、この子は?.....

「私、あなたのファンなの!花田未来ちゃんでしょ?」

「え、ファン!?私の!?」

何と言うことだ、まさか、私のファンがいたとは。

「うん!すごい!奇跡だ、未来ちゃんに会えるなんて!」

「あ、ありがとうね!」

一旦、ここで話を切っておこう。長引くと、面倒だ.....

『これで、校長先生のお話を終わります。続いて、新入生代表の挨拶で

す。新入生代表、筒井 健太(つつい けんた)。』

その時だ。

司会が名前を呼ぶと共に、大きな女子たちのピンクの声が飛び交った。その

視線の先には、花道のようなパイプ椅子の間のみちをスタスタと歩く男子が

いた。

女子が口をそろえて言う。

「キャー!筒井くーん!!」と、

「............つ、筒井ぃぃぃ!?」