「約束、……しろよ」

長い長い探り合いの後に、純平はそう言った。
頷いたボクの頭を乱暴にふたつ叩いて、おもむろに立ち上がった彼の顔は見えなくなった。


「純平」

立ち去ろうとする背中を、恐竜のお腹から這い出しもせずに呼び止めた。


「ボクは2人が両想いなんだとずっと思ってた。ずっと怖かった。それはね、純平を美紗に取られると思ったからじゃないんだ。2人が、ボクから離れていっちゃうと思ったから」


ボクは、純平も、美紗も、失うのが怖かった。
だけど今は――、




「――……必ず、戻ってこいよ」


純平の最後の言葉は、ボクに、帰る場所を残してくれた。