走って逃げ去ろうとしたボクは、ほんの数メートルで純平に捕まった。
立ち止まったままの美紗からは、その分だけ距離が離れた。
「納得しろよ。お前だって……、その方が都合いいだろ」
美紗に聞こえないように意識してか、純平は顔を耳元に寄せて小声で囁く。
『都合いいだろ』――?
確かに、そうだ。
けど純平ではなくボクがそう考えるのは、ひどく汚く思えた。
美紗の想いが自分に向いて欲しいと願う純平の純粋な気持ちとは違って、ボクがそう考えるのは、ただ、彼女の想いを否定する行為。
自分に都合よく……
アレが嘘なら、――楽に、なれる。
立ち止まったままの美紗からは、その分だけ距離が離れた。
「納得しろよ。お前だって……、その方が都合いいだろ」
美紗に聞こえないように意識してか、純平は顔を耳元に寄せて小声で囁く。
『都合いいだろ』――?
確かに、そうだ。
けど純平ではなくボクがそう考えるのは、ひどく汚く思えた。
美紗の想いが自分に向いて欲しいと願う純平の純粋な気持ちとは違って、ボクがそう考えるのは、ただ、彼女の想いを否定する行為。
自分に都合よく……
アレが嘘なら、――楽に、なれる。


