【完結】bitter step!

チャイムが鳴って、朝のHRに現れた担任と不意にばちっと目が合うと

「なんだ、岸本――」

まだ若い新任教師である彼は、目を丸くして突然ボクの名前を呼んだ。


「お前、テストの朝はいつも顔面蒼白でノートにかじりついてるのに、今回はずいぶん余裕そうだな!」

朝の挨拶すら抜かしてしょっぱなに放たれた担任の言葉が、教室中を笑わせた。


「……余計なお世話だし」

笑いと視線を浴びながら、顔をしかめて出来る限り不機嫌な声を出してはみたけれど、のん気にニコニコと笑った先生は、

「おー、期待してるぞ! 頑張れよ!」

と機嫌良さげに教卓を叩いた。