『お前、アレだろ』

一瞬でコロッと意気揚々とした語り口に変わった純平は、いかにも楽しそうに言い放った。


『2人っきりの勉強会でムラッと来た響先輩に襲われたんだろッ!!』


「……純平、馬鹿なの?」

『はぁっ!?』

「じゃあね、また明日」

『おい待て、隠すな――……』


返事を待たずに切った携帯から、通話終了を示す規則的な電子音が聞こえた。

先輩は昨日も今日もボクに指一本触れなかったというのに、アイツは本当に馬鹿――ついでに、発想がエロくて下品だ。

――ムラッとした? なんて質問を先にしたのはボクの方なのにそれを棚に上げて、自分が一体何に対してイラついているのか、良く分からなかった。