「ありがと」
そう言ってコップをひとつ受け取った響先輩は、にこりと笑って
「じゃ、始めようか」
と勉強会の開始を宣言した。
その言葉で、一瞬美紗先生の顔がよぎる。
ああ、やっぱりこの2人は似ているんだと、認める気持ちが少しだけ大きくなった。
「数学はもう対策が済んでるって、小早川さんに聞いてるんだけど……」
言いながら先輩が手にしているのは、良く見るとミニテーブルの上に出しておいたボクの数学のノートだった。
いつの間に広げたのか先輩が見ているそのページには、間違いだらけのボクの解答と、赤ペンでバツと正解だけが書き込んである。
……馬鹿だと思われてるのかな。
「なおの弱点、分かった気がするな。先にそこだけやろうか」
なんとも頼もしい言葉を、目を細めて微笑みを浮かべた彼が、優しい声で投げかけてきた。
――やっぱ、似てないかも。
純平の言葉通り、天使だわ、この人。
そう言ってコップをひとつ受け取った響先輩は、にこりと笑って
「じゃ、始めようか」
と勉強会の開始を宣言した。
その言葉で、一瞬美紗先生の顔がよぎる。
ああ、やっぱりこの2人は似ているんだと、認める気持ちが少しだけ大きくなった。
「数学はもう対策が済んでるって、小早川さんに聞いてるんだけど……」
言いながら先輩が手にしているのは、良く見るとミニテーブルの上に出しておいたボクの数学のノートだった。
いつの間に広げたのか先輩が見ているそのページには、間違いだらけのボクの解答と、赤ペンでバツと正解だけが書き込んである。
……馬鹿だと思われてるのかな。
「なおの弱点、分かった気がするな。先にそこだけやろうか」
なんとも頼もしい言葉を、目を細めて微笑みを浮かべた彼が、優しい声で投げかけてきた。
――やっぱ、似てないかも。
純平の言葉通り、天使だわ、この人。


