【完結】bitter step!

「残念ながら、羊を導くのは犬の仕事なのだよ」

「へえ。じゃあ猿には無理か」

ウキッと、彼は猿の真似をした。
チビは気にしていても、猿は気にしていないようだ。


「まあ――、」

前振りだけしてもったいぶって、まだ半分以上残る弁当をまた一口だけ食べ、時間をかけて咀嚼してから梶原は続ける。


「正しい答えは、本人たちにしか出せない。そーゆーのは周りがどうこう言うもんじゃない。大事なのは、岸本自身が北極星を見失わないことだ」

「ほっきょくせい?」


もったいぶった割には、分かりづらい比喩を使って明言してこない。
ちょっと待て、誰からの相談でも『北極星』というキーワードで煙に巻いてるんじゃないのか、コイツ。


だけど。
悔しいけど、正直なところ。
その言葉は、少しだけボクの心を軽くした。


――これが【生徒会長スペック】なのか?