【完結】bitter step！

「聞きたい？」

身を乗り出す彼の目はまさに爛々といった風で、男のクセに噂好きか、と思うと少しだけ目の前にいる男の評価が下がる。
こんな口軽そうな男に人生相談するヤツの気がしれない！


「別に、興味ないわ」

食べ終わった弁当にフタをして片付け始めながら一蹴した。
梶原は、なんだ残念、と、大して残念じゃなさそうに肩を竦める。


ペットボトルのウーロン茶を飲み干してから外していたマスクを装着し直す。
傷はくっついたようで、弁当の塩分が少しだけしみることはあったけど、もう血は出なかった。


「……何？」


強烈な視線を感じて、無視しきれずに聞いてしまう。

目だ。
梶原は、まっすぐにボクの目を見ていた。
腫れは、午前中にそこそこ引いたはずなのだけど。