【完結】bitter step!

「……昨日は――、」

美紗が、ゆっくりと言葉を紡いだ。

「驚かせて、ごめんね」


首を横に振る。
言葉にはまだ続きがあるように感じたから、遮らないように黙って待った。

「本当は」と、彼女は続ける。

「しばらく会わないつもりだった」


――唾を飲み込んだ。
その音が予想外に大きく、辺りに響いた気がした。

壊れかけたボクらの関係は、誰かが少し突いただけでバラバラに崩れそうだった。
『会わない』――それは崩壊への、最短距離のような気がした。


「だけど」

……けど?

唐突に立ち止まった美紗は、ボクと、純平と、順番に視線を絡ませた。