【完結】bitter step！

「幼くて、甘えたがりで」

……改めて人に言われると、なんて幼稚なんだろうボクは。


言葉なく、視線を落とす。
背筋を伸ばして虚勢を張るのは、１人じゃ何もできないって思われたくなかったからなのに。

ここまで見透かされている相手に、何て言えばよいのだろう。


「そして君は」

ボクは、弱くて。
あの２人がいないと、本当は全然ダメで。


「よく笑う」


……そう。
だってあの２人だけが、ボクを安心させるんだ。


「僕はね」


言葉の合間に、落としたままの視界の中に、先輩の大きな手が伸びてくる。


「【素】の君を、もっと見たいと思ったんだ」


――ごつごつと骨ばっていて女らしくないボクの手に重ねられた先輩のそれが、ボクのよりも少しだけ大きいことに、ボクは何故かほっとしていた。