【完結】bitter step!

「じゅん」

いいワケない。
ボクが呼び止めようと声を発したのと、純平の足が止まったのはほぼ同時だった。


ゆっくり振り返る彼の顔が、無表情すぎて
ボクは初めて純平を、怖い、と思った。


「今日勉強会、お前んちでいい?」

――一瞬、聞き間違いかと思った。


『勉強会』。
純平は、確かにそう言った。

こんな時に?
……教えてくれる人もいないのに?


「何、言ってん」

「今日の午後のノート、見せて」


頷いたのは、彼が言い出したことに納得したからじゃない。


表情を無くした純平に抗う術を、ボクは知らなかった。