【完結】bitter step!

「君は――……」

先輩の言葉が途切れて、ボクは首を傾げた。

「背筋を伸ばして、凛としていた」


……ええと。
なんだろう、これ。
話は変わったのかな。

どうやらボクの皮肉はさらりと流されたらしく、そして、非常に反応しがたい事態が起こっている。
あまりボクには当てはまらないような気がする言葉だけれど、彼が口にしたそれは多分褒め言葉の部類だ。


「高潔。強そう。それが第一印象」

じっと目を見つめてそう言われるのは、ちょっと――否、かなりくすぐったい。
てか、コウケツってなんだ!?


褒められてる気がする。
でも全然ソレは、ボクっぽくない。


「でも」

「……でも?」


沈黙が流れたのはほんの一瞬で、それでもその間、先輩が目を逸らさないから。
ボクも、目を逸らしちゃいけないような気がしてしまった。


「あの2人と一緒のときだけ、君はそれが崩れる」


――ああ、この人。
本当によく、見てたんだな。