【完結】bitter step!

「仲良し3人揃って腹痛とはなぁ。食中毒じゃないだろうな」

笑っているクラスメイトに反して、先生は深刻そうに顔をしかめた。


――3人?

椅子を引いて席に着きながら、先生の視線を辿る。
その先にある空席は、美紗の席だった。


……帰ったんだ、美紗。
腹が痛いって、嘘を吐いて。


顔を合わせずに済んだことで、ひとまずは救われた気分だった。
だけど、このまますれ違い続けることなどあり得ない。

自分の方が逃げたかったクセに、美紗がボクから逃げたと思うと癪だった。


美紗は、逃げたんじゃない。
ボクに時間を与えてくれただけ。
――きっと。


そう、思いたかった。
信じたかった。