【完結】bitter step!

「最初はちょっとした興味もあったんだ」

と、彼は正直に言った。

「女の子なのに、チョコを受け取って欲しい相手にランクインするなんてどんな子だろうって」


まあ、確かにそういう女はあんまいないだろう。
これが女子高とかだったらまたアレなんだろうが、ここは共学なわけだし。


「本当に男みたいにカッコ良くて、驚いたよ」

そう言われると、なんだか居たたまれない。
褒められたような、喜んじゃいけないような。

何を思い出したのかくしゃっと顔を崩して笑った先輩は、その瞬間、少しだけ子供っぽくなった。


それから先輩は、プールサイド、裏門脇のベンチ、屋上、……と最近ボクらが逃げ回っていた場所を次々にあげていった。


「全部ね、見えるんだ」

「え?」

「あそこから」


L字型の校舎の短い方の辺にあたる別館側、端っこの、多分最上階と思われるあたりを先輩は指さした。