ぴったりと生徒会室のドアを閉めると、それ以上どこへも移動するつもりがないのか美紗はその場で立ち止まった。


「美紗……どうして、あんなこと……」


ボクが美紗を嫌いだった、なんて。
自分は嫌われて当然のことをしてきた、なんて。

みんなの前でわざわざ、なんで言わなきゃいけなかったのか。


「あんな――?」

ボクの質問に、美紗は苦しげに顔をゆがめた。


「なおが忘れたままじゃ、フェアじゃないと思ったからよ」


顔を上げた彼女の目が、ボクに聞いてくる。
『思い出したんでしょう?』と。


美紗が、嫌いだった。
大嫌いだった。


そんなことは、思い出したくなかったのに。