【完結】bitter step!

「なおに会えなくなるのが?」

純平はいつも通りからかうように突っ込んだけど、それも探り探りだった。

ボクには分かる、長い付き合いだから。
彼は先輩を下手に傷つけないよう、細心の注意を払っている。
――これでも、一応。


「まあ、それももちろんだけど」

と、先輩はあっさりと認める。

居心地が悪くなって下を向いたボクは、残っていた【バレンタイン】の残骸をついでにぐちゃぐちゃにした。


「きったねーな、なお!」

ボクの行動に気付いた純平に指摘され、思わず

「食っちまえば一緒だろ」

と言い返す。


「ほら、なお。また言葉遣いが」

美紗まで恒例の説教を始めると、響先輩がフフッと声に出して笑った。


「楽しかったからね。こうして君たち3人のやり取りを見ているだけで」


それは、さっき途中まで言いかけた『淋しいな』の理由の続きだった。