「おい待てよ」

と、慌てたような純平に呼び止められたけど、近代的な空間を出てその建物の厳つい外装を思い出すまで、ボクは歩調を緩めなかった。


「意外と良かったな、図書館」


帰り道、新しい勉強会の場所としてはあそこが気に入ったのか、純平は機嫌よさ気に言う。
それからボソッと、「あのバカップルさえいなければ」と付け足した。


「明日もあそこでやる?」

明日は美紗ん家が使えるかも知れないけど、純平が図書館がいいと言うならそれでもいいい。

「あのカップルもいるかもしれないけど」

と、ボクも真似して小さく付け足した。


ボクと純平は、結構気分よく歩いてたんだ。
それに水を差したのは美紗の言葉だった。


「ちょっと、何言ってるの2人とも」