――そうだ。
美紗は冬休み明けてすぐ、インフルエンザにかかって1週間学校を休んだ。

もちろんその間のノートの穴は純平とボクの頼りないソレを元に埋めてあるけど、さすがの美紗も、授業で直接先生の話を聞いていないこの期間の範囲については【予想】が立たないらしい。


そしてその最悪のタイミングで、美紗が唯一(彼女のレベルで)苦手にしている物理が、恐ろしいスピードで進んでしまったのだ。


「今回ばかりは、物理がどうもね……」


自信なさげにそうは言っても、美紗はどうせ余裕で平均点を超えるんだろう。
彼女の苦手とボクの苦手では、レベルが違う。


けど、彼女が心配しているのはボクらの赤点だ。
まあボクらというより、理数系にからきし弱いボクと言った方がいいかもしれない。