そんな風にあのカップルに苛立つってことは、

「羨ましい?」

ってことだろ。

いつもの仕返し、思いきりニヤついて顔を覗き込むと、ふてくされた顔の純平は一言、

「炭酸買ってこい」

は?
なんでボクが。
不満顔で返すと、そんなことは気にもしない様子の純平は続けて言い放った。


「そんで、思いっきし振れ」


……コイツ、やっぱり馬鹿だろ。

生憎ボクはそこまで好戦的じゃない。
小さい『ぇ』にイラついたくらいで、炭酸をぶちまけるような姑息な真似はしない。


純平は再び美紗からの可愛らしい一撃を食らったけど、相変わらず向こうのカップルは楽しげにお勉強タイムを続けていた。