部屋の中が少し騒がしくなったせいか、今まではほとんど聞こえてこなかった高校生カップルの声もつられて少しだけ大きくなったようだ。


「正解!やれば出来るじゃん」

「だってぇ、教え方がいいんだもん」

という甘々なやり取りが耳に入ってきた。


その『だってぇ』の小さい『ぇ』に、ちょっとイラッとする。
そちらへ目をやると、秀才男子がぶりぶり女子の頭を撫でているところだった。


「チッ!」

純平が、果てしなく遠慮のない大きな舌打ちをかました。
まるでわざと本人たちに聞かせようとしているかのように。


「……ぶっ」

……吹いた。
思わず。