高校生カップル（多分）はやはりテスト期間なのか、秀才めいた男の方が女の子にどうやら数学を教えている。

おばさん集団は何の会合なのか良く分からないが、お菓子を摘まみながら何かの資料らしきプリントを片手に雑談まじりの議論を交わしていた。


「ここならイケそうじゃん」

部屋の様子を確認した純平が、満足げに言う。
うん、ここなら周りも気にしないで勉強会ができそうだ。


使用中の２席から距離をあけた席を選んで、ボクたちはようやく落ち着くことが出来た。
自動販売機でお茶でも買って一息つきたいところだけど、我らが先生はそう甘くない。


「じゃ、まずは数学ね」

と、さっさと授業開始を告げた。


気が重いけど、仕方ない。
美紗の悪魔の微笑みに、ボクと純平は渋々教科書とノートをテーブルに広げた。