困ったように小首を傾げた美紗は(なんでコイツはいちいちこういう仕草が可愛いんだろう)、ひとまず【自習室】のドアを開けて中を覗いた。

ペンを走らせる音だけが忙しなく響くその部屋のものものしい雰囲気が、ドアの隙間から溢れてこっちまで攻撃してくるようだった。

美紗は一瞬でドアを閉めて首を横に振った。
ボクとしてもこの部屋はごめんだ。


純平も同意見らしく、さっさと奥の【談話室】のドアへ向かう。


そこは、6人掛けのテーブルが8席並んだ、比較的広い部屋だった。
この部屋では飲食も禁止されていないのか、自動販売機が端に設置されている。

2席は既に使われており、その内の片方はボクらと同じ高校生くらいの制服姿の男女2人組、もう片方は主婦らしき年齢層のおばさんの集まりだった。