「なお、お土産食べる?」

純平のせいで炭酸飲料まみれになった弁当を乱暴に撥ね退けたボクを覗き込むように、右側から優しい空気がふわりと流れ込んだ。


ボクをどうしようもなく居たたまれなくするこの人なのに、今ばかりは、救いを感じる。
大した意味を込めてないと知っていたって、ボクが作ったモノを楽しみにしてくれてる人もいるもん。


「食べる!」

自分が思っていたよりも大分大声が出てしまい、ボクの声に驚いた純平が呆れたように顔を向ける。

「お前、アレだな。花より団子」

その一言で、さっきまでのおかしな雰囲気は吹き飛んだ。
ボクの絆創膏を貼っていない側の頬は、若干痙攣したけど。


「ちゃんとみんなの分、あるよ」

と先輩がお土産を配ったので、話は自然にそちらへ移行した。