その様子を気にしつつも、このまま限られた昼休みが終わってしまってはいけないと席に着く。
昼飯食いっぱぐれるのはごめんだ!


座ってしまってから自分が無意識に2日目と同じ席を選んだことに気付いたけど、後の祭りだった。
これで、ここが指定席になっちゃった。

――ま、いいか。
どうせ今週いっぱいだし。


「小早川……さん」

先輩が口を開いたのは、いつものペースを取り戻しボクが弁当を開けた時だった。

彼の口から美紗が呼ばれるのは初めてここに来た時以来で、聞きなれない美紗の苗字に少しだけ違和感を感じる。
口元に運びかけた箸を止め、美紗が顔を上げた。


「申し訳ないけど、僕の分はいらないよ」

「あら。甘いもの、お嫌いでしたか?」

先輩が続けた美紗への言葉は、どちらかと言うとボクに対して、強烈な殺傷能力を持っていた。


「そうじゃなくて、僕は……本当に好きな子からだけ、もらいたいから」