【完結】bitter step!

「いくら不器用っつったって、母さんは卵割れるじゃん」

「何年も主婦やってりゃ、さすがにそれくらいは出来るようになるわよ」

「……昔はできなかったわけ?」

「秘密」


母はニヤリと笑ってそう言ったが、認めたようなものだった。


このまま時間がのんびり流れればいいのに……と思っていた穏やかなティータイムは、遠くから微かに聞こえてきた、何かが定期的に振動する音を耳に捉えた母の一声でお開きを迎える。


「ちょっと……、あんたの部屋で、携帯鳴ってるんじゃない?」

「えー、マジで? 聞こえな……」


いや、言われて意識してみた途端に聞こえた。

ボクがその音を認識してすぐに、電話が切れたのか静寂が戻った。