日常・非日常

ぼろぼろと涙が止まらなくなって、何も言えなくなってしまった。静かな部屋に、私のしゃくりあげる声だけが響く。

もうだめだ。完全に引かれた。
まるで結婚してって迫ってるみたい。いや、事実そうなんだろう。私は確証のある未来を、その約束を求めている。あやふやな言葉なんかじゃなくて。
でも、26の男に「私の人生背負ってください」なんて意味合い、重過ぎる。

「香織…」
春樹の手が肩に触れる。全神経が集中する。

「ごめんな、追い込んで。正直、俺そこまで先を考えてなかった。」

体中の血が、さぁっと引いてゆく。