どうやって1日過ごしたのかわからない


だってまだ2限目の日本史の教科書が出たまま


「心愛~もうお昼休みだよ?
 とりあえず屋上行って?」


『えっ?もうお昼??』


「そうだよ
 3組の志田って奴がいるから」


頷いて屋上に向かった


3組の志田君か…

何か聞いた事あるなぁ




屋上に向かうと志田君という男の子が確かにいた




志田君って生徒会に入ってる人だ



確か性格も成績も良いって聞いた事がある



「楠瀬さん急にごめんね」



『ううん』



「多々良とは中学の同級で頼んだんだ」


そうなんだ…


『………』


「………」



少しの無言の後、志田君は聞きにくそうに


「見城と別れたって多々良から聞いたんだけど本当?」


頷くと同時に涙が溢れた



「ごめんな~
 辛い事聞いて」



志田君が焦りだすから、首を左右に振った



『私の涙腺壊れてるんだ
 気にしないで?』



「我慢しなくていいよ?」


志田君が真剣な顔で言うから
涙が止まらない


ちょっとした優しさに今は弱いんだ



「俺なら絶対不安にさせない
 泣かさないよ…」


えっ?

志田君の顔を真っ直ぐ見た



「気づいてなかったと思うけど
 ずっと好きだった
 別れたばかりで考えられないかもしれないけど
 もう誰かの隣でいる楠瀬さんを見たくない」


『………』




「ここ最近ずっと辛そうにしてただろ?
 楠瀬さんには笑っていて欲しい」



視界が消えて何かに包まれて温かくなる


志田君に抱きしめられてる



「俺が見城を忘れさせるから…」


耳元で小さく囁かれた



志田君の肩が小さく震えてた



人ってこんなに温かいんだ


安心出来るんだ


このまま志田君の優しさに…