【完結】遺族の強い希望により

「だからだね。玲奈はそういう家庭で愛されて大事に育てられたから、こんなに真っ直ぐな子になったんだ」


太陽みたいな子だ、と、高校の頃、思ったことがあった。
常に正しくて、驕らず、気取らず、誰にでも優しくて、明るくて。
玲奈のそういう人格が形成されていく過程に、父の教えや家庭の影響がなかったはずはない。

玲奈が語ったのは、正しく先ほど階下で見てきた優しそうな男性そのものだった。


だが、そんなことはない、と、玲奈は哀しそうな笑いを貼り付けた顔で首を横に振った。


「ううん、私だってそういう家族だと信じていたかった。でも違った」

「そんなこと……お母さんは信じろって言ってくれたんでしょう? 今は、ネットの書き込みに惑わされてるだけだよ」

「違うのよ。違うの」


家族を否定する、玲奈は頑なだった。