愛、と語るには男は若すぎた。
けれどその想いが本物である自信はあった。
だからこそ冷静になれた。


将来を約束するにはあまりにも無力。
それならば、今この気持ちを押し付けて、国へ帰ってしまう彼女の未来を拘束し続ける権利などない。


「最後の日は、少しでも一緒にいれる?」

「うん、勿論。私もそうしたい」

「帰国を伸ばしてくれて嬉しいよ」


帰らないで欲しい、などと言えるわけがなかった。
例え彼女の瞳の中に、帰りたくないという想いが滲んでいても。