「それにしたって、付き合うことすら認めてもらえるかどうか……ってとこだったんでしょ。それがいきなり同棲なんて、随分寛大って言うか……親御さんたち、思い切ったねえ?」

と、玲奈はしきりに首を傾げた。


それについてはみのりも亮も、喜びよりも驚きの方が大きかった。
だが親の気持ちを聞かされて納得した。
同時に、単純に喜んだり浮かれたりして良いものではないのだと気が引き締まる。


「墓に名前を入れるってことがそれだけデカい意味だったんだよな。正直俺はそこまで深くは考えてなくて、ただちゃんと供養してやりたいと思っただけなの」


亮の言葉を聞きながら、水子供養を考えもつかなかった自分はどれだけ冷静じゃなかったのかと改めて思う。
恐らくみのりの両親も同じだ。
そしてだからこそ、真剣に供養を考えてくれた亮や廣岡家に心を動かされたのだろう。


「けど、命ひとつ出来た時点でもう、家同士の問題だったんだよな。2人の子……って考えが浅かった。親たちからしたら孫だしな。うちの墓に入れるってことはもう、そーゆー意味」


重くなりかけた空気を払うように最後に口調を崩した亮を、「どういう意味よ?」と玲奈がからかった。