みのりと亮に突付けられた条件は山のようにあった。


亮が間違いなく大学を卒業し、きちんとした先に就職すること。
現を抜かして成績が落ちるようなことがあったらその時点で強制終了だと、これは亮の両親から強く言いつけられた。

親として人の娘を預かるのに、生活を約束出来ないような大人になられては困ると思うのは当然のことと思えた。


みのりの両親からは、生活費の援助は一切出ない。
ただし、短大でも専門でも、どこか学校に入るつもりがあるのなら学費だけは出してやると言われた。
本当は親としては、どこでもいいから学校に行かせたいのだろうと思う。
けれどみのりは、引っ越し先で仕事を探すつもりだった。

高卒で求人などそうないだろう。
だがアルバイトでも良い。
いつか亮が大学を出て社会人になった時、自分に働いた経験がなければ、傍にいても本当の意味で支えることは出来ないと思った。
亮との未来の確約がもらえた今、勉学よりも、社会を知らなければならないと。