玲奈は矛先を亮に変えて追求を続けようとするが、亮とみのりは互いの目を見て笑いあうだけだった。


2人とも親の前で必死で想いの丈を語ったのだ、本人に直接言ったこともないような言葉まで使って。
どれだけ相手を想っていて、どれだけ必要で、どれだけ一緒にいたくて、どれだけ離れている間が苦しかったか――。


思い出せば言ってしまったことは恥ずかしいが、相手の言葉は嬉しかった。
ついにやけてしまう。
だが共通の友人にその言葉まで知られるのはやはり、恥ずかしすぎた。


「亮の言葉なら教えてあげたいけど」

「やめろ、お前が言ったら俺もバラす」

つまり、そういうことだ。
「ケチ」と玲奈が口を尖らせたが、目は楽しそうに笑っていた。


「待って待って、目の痣だけ新しいよね?」

と、まだ青黒いそれを指して尋ねる。

「うん、これはまたその後だから」

出来立てほやほやなのだ。
話の先を待つ玲奈が、何を期待しているのかやけに瞳を輝かせていた。